幾千の夜を越え
決意して望んだにも関わらず、
葵に会うことも時期尚早だと…
神野家を離れ帰路に着く。

封印の目的が解れば封印されてる場所も封印を解く鍵も解る筈だと言うおじさんの言葉が引っ掛かり何度も繰り返していた。

封印の目的が自身の為ではないのだとするなら何を封印する必要があったというのか…。

右近の大切な人は尊だった…。

だが…尊は右近のせいで助けられなかったってことだろ?

尊を逃がしたせいで氏子も滅びたっていうなら少なくとも尊の敵は右近には封印されてない。

他に何を封印する必要があったというのか?

俯せにベッドに倒れ込むとマットのスプリングで体全体がバウンドする。

頭の芯までブレるんじゃないかと思わせる。

右近は何を恐れたのか…。

右近(俺)が怖いのは…尊(葵)が居なくなることだけ。

右近は氏子より尊を選んだ?

俺なら葵を逃がす!
葵を連れて逃げる!

『尊が貴いのは純粋な器やからや尊は何の力も持ちよらん』

不意に左山の言葉を思い出す。

尊が器?

『誰の力も吸収しよる…
恐ろしい兵器っちゅうこっちゃ』

力を吸収する兵器…。

吸収するってことは敵の攻撃を
無効に出来るってことだろ?

味方にとって最終兵器でも
敵にとっては単なる脅威…。

< 99 / 158 >

この作品をシェア

pagetop