悲しき恋―時代に翻弄されて―
「千与様、毎日曜日の午の刻にこの南蛮寺でミサがあります故、お時間が合いましたらいらしてくださいませ。」

ジョゼは思い出したように千与に言う。千与は聞き慣れない単語に首を捻った。


「ミサというのは神を讃え、罪の購いをする儀式のようなモノですよ。」

ジョゼはふんわりとした優しい笑顔で千与に教える。千与は負けない程の優しい笑顔を浮かべ、頷いた。

「是非毎度行かむ。」

もう今の千与にはクリスチャンという誇りが根、幹となっていた。
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