悲しき恋―時代に翻弄されて―
千与でいる限り彼女はいつも由親を求めてしまう。
由親への想いがとめどなく溢れて、世の中の全てを悲観してしまう。
エバならば、神への忠誠心のみで生きられる。

信仰という名の逃げ道だった。

―千与にとって由親はアダムのような存在だった。隣にいつもいて、たくさんの"知恵"を与え、お互いを慈しみ…。

真っ赤な禁断の実を共に口にした為に、エデンの園を追放された二人と自分達がどこか共通しているように思えてならなかった。
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