【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ


何かを言いかけるような間があった。

でも出てきた言葉は「……さあな」という、投げやりともとれるもので。


はぐらかされた。


でもそれは自らの保身のためというよりも、何故だろう。どこか私を気付かってのような気がした。


息をついた間が、そう感じさせたんだろうか。


「遅刻するぞ」


動き始めた思考を遮るかのように、秋月会長は言う。


お先にどうぞ、という言葉をかろうじて飲み込んだ。


バイクならば悠々間に合う時間だが、徒歩の私には、もしかしなくても走ってようやく間に合うかどうかという、

そんなギリギリの時間になってしまっていて。


生徒会長を目の前にして、さすがに遅刻はマズい……ような気がする。


その生徒会長が、禁止のバイクに乗ってるというのは、校則的にはもっとマズいわけだけど。


でもそのおかげで私も遅刻しないというのなら、いまは共犯者になるしか道はないようだ。


「……失礼します」


私はバイクの後ろへと回った。


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