未来のない優しさ
「あいつらはあいつらだろ」

「ん…。頭ではわかってるけど」

全く弱ることのない健吾の手の力と揺れない瞳の光。

「柚が背負っていく人生が大変なものでも、それで俺が離れるなんて思うな。
反対に俺に何があっても柚を離さない。

これからの全ては道連れだ」

「道連れ…」

「わかったか」

反論なんて認めてくれない口調に、少し嬉しくなる。
健吾の中にある覚悟を感じて、ふっと緩んでいく緊張感。

先が見えない毎日を一人で過ごすって思いながら強くありたいとだけ願い…。

生きていく為だけに生きる私は、誰にも寄り添えないと思っていた。
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