未来のない優しさ
夕べシャワーを浴びた時にはあったのに…。
どこに落ちたんだろ…。

健吾にもらった大切な指輪…。
私が健吾の人生をだめにしちゃった…戒めの指輪。

「どうしよう」

ベッドの下かな…。

健吾を起こさないように気をつけながら、カーペットに足を下ろそうとした途端。

「ぎゃっ」

背後から伸びてきた腕に引っ張られベッドに戻された。

仰向けに転がった私に見えるのは真っ白な天井と
健吾の顔。

「おはよ」

そっと口づけられて

「あ…おはよ」

反射的に答えてしまう。

「…探し物はこれだろ?」

ぼんやりと健吾を見つめていた私に優しく問いかける…。

「…!…なんで」

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