未来のない優しさ
俺の部屋の見えない所に女の影や残り香を探してしまうのが嫌で…

きっと柚は俺の部屋で暮らす事を嫌がってる。

大学時代からの、決して地味ではなかった女関係も柚は知ってるんだろう。

リハビリや孤独と闘うだけで精一杯だったはずなのに、俺の事を忘れず愛し続けてくれていたと知って。

もう、それだけで俺は柚を手放せない。

一緒に笑って、泣いて、
怒って、抱き合って、
愛し合って…。

傍らで歳を重ねていきたい。

過去の女を気にして…不安を捨てられないなら。

その不安ごと柚を包み込んで、愛情を目一杯に注いでやる。

どんなに二の足を踏んでも、臆病になっても、
ちゃんと結婚して離さない。

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