未来のない優しさ
料理を作りたがる面倒な女を牽制するために、鍋や皿、調理器具は全く置いてない。

一人暮らしを始めてからずっとそうだ。

柚の側で暮らすようになってからは、食事のほとんどは柚の手料理を食べてるしな…。

極端過ぎるほど寛げない部屋に女を呼んでも、コーヒーすら煎れる事のできない居心地の悪さは、自然と長居できない流れになっていく。

望ですら仕事での用件以外俺の部屋に来ようとはしなかった。

俺を本気で愛してるなら、そんなの関係なしに側にいただろうけど…。

俺と望の関係には愛はなかったからな…。

は…。

そんな付き合いばかりをしていた俺の事を知ったら、柚は軽蔑するだろうな。

自業自得だ…。
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