未来のない優しさ
軽く肩をすくめて笑う私に訝しげな視線を投げる大和君。

「…地味なんかじゃないだろ」

「え?」

「仕事は要求以上の成果を出すし、見た目でも社内で有名だろ?
付き合ってる男いないのも、更にお前の知名度あげてるしな」

「そんな事ない。仕事は、何故かできちゃうだけだし、見た目も普通だし」

そう。仕事は向いているのか何でもそつなくこなせてしまう。
決して好きで選んだ仕事ではなくて、生活の為の仕事だけれど。
他の仕事で生活できるなら、転職もいいかなと思える程度の執着しかない。

生きる為に仕事をして。
その仕事に対する責任が大きくなっていく状況が、私の中でどこまで耐えられるのか…。

耐えて一人で生きていくしかないけれど。
< 33 / 433 >

この作品をシェア

pagetop