未来のない優しさ
「今日、飲みにいかないか?」

「…まだ月曜だよ?
いいの?
異動前で忙しいんでしよ?」

「それはお互い様。
これからもっと忙しくなるし、久々飲みたいしな」

私の手元にある資料…システムの設計図…を見ながら言う言葉には、溜息も感じられる。

「そうだね…。忙しくなる前に行っておこうか」

「異動したら、まずは飲みに行く店探さなきゃな」

「ふふっ。そうだね」

じっと見ていた資料に突然何かを書き出したと思ったら、私の前にすっと置いて

「この方がシステムの負荷が少ないぞ」

あっさり言って席を立った大和君は、
『どうだ』
とでもいうように笑って去って行った。
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