クロスロードラヴァーズ
「……というわけだ。観念しちまいな、相棒。」
「……。」
唐瑞(からみず)大学、第五講義室。
得意満面の表情で自分がここに居る経緯を話す火槌に、聖河は言葉も出なかった。
潜入調査と自負しただけあって、火槌は金のグラサンの代わりに黄縁のメガネをかけ、服装も黒の皮ジャンに紺色のジーパンと彼にしては控えめなものだった。
(占いで“予期せぬハプニングに見舞われるかも”とあったが……嫌な予感が当たったか。)
「おい、聞こえてっか、相棒?」
聖河の思いとは裏腹に、火槌は楽しそうに肩をポンポンと叩いてきた。
「……聞こえてるから、叩くな。」
「聞こえてんなら、すぐに返事しろよ!無視されてるかと思うだろうが!」
「無視していいなら、そうしたい……。」
小声でぼやく聖河。
彼らの近くに座っていた生徒達が、興味深そうに二人を見つめていた。
「次は、相棒の番だぜ?梓とかいう女をどう思ってんのか、聞かせてもらう。」
「……っ!どうとは……?」
「郁並みにわかりすいな、相棒。選択肢は二つ。大好きか大嫌いか……どっちだよ?」