クロスロードラヴァーズ


柚枝は、戸惑ったような表情で梓をチラッと見る。



「上がっていけば?詳しく話聞きたいし、柳兄もいいって言ってるから。」


梓はいつもの冷めた口調で返す。

それにホッとしたように、お邪魔しますと柚枝は二人についてリビングへ入り、ソファに腰掛ける。



「はい、チャーハン二人前。お待ちどう様!」


威勢の良い声と共に、柚枝と梓の前に白い皿に盛られたチャーハンが置かれる。



「柳兄……それ、ファミレスのウェイターっていうより、寿司屋の板前っぽい。」


呆れたようにフウとため息をついて、梓が突っ込みを入れる。



「その通り!今のは、板前を意識して言ってみたんだ。……どうかな?」


「……似合わない。想像できない。柳兄には清掃員が適任だから。」
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