ジュリエットに愛の花束を。
そう言ってから、松永の反応を観察する。
なんか……ここまで特別扱いされると、少し警戒するし、樹も心配するだろうし。
あたしの視線の先で、松永は驚いた表情を浮かべて……呆然としてしまった。
「え……椎名、先輩が……?」
「……うん。なんか……ごめんね?」
あまりに態度を変えるから、さすがに悪く思って謝ってみる。
松永はしばらく呆けて、それからまた明るさを取り戻して笑う。
「全然!! 瑞希にやったモンだし、瑞希がどうしようと瑞希の自由だし、全然気にすんなって」
「……ありがとう」
「コレも、好きにしていいから」
「でも、あたし別にいいよ。誰か他の人に……」
「いいから、もらっとけって」
「……」
半ば強引にプリンを押し付けて教室を出て行った松永に、教室がざわめきだす。