ジュリエットに愛の花束を。


「えー、松永って片桐の事好きなんじゃん?」

「好きな女のために限定メープルプリン……男だねー」

「あたし、松永と高校から一緒だけど、松永って全然その手の噂なくってさー。

一時期男が好きだって噂まであったんだよ」

「知ってる、それ!! 

……でも、それっくらい女っ気なかったのに、よりによって片桐って。男持ちの女に片思いってさー、しかもあんな健気でさー……。

なんか不憫だなー」

「……片桐、ここは松永のために椎名先輩とは別れ……」

「別れないし。……っていうか、なんでみんなして別れろ別れろ言うかな。

勘弁してよ」


「みんなって他に誰に言われたの?」なんて聞いてくる皐を無視して、目を伏せてため息をつく。

目の前にある幻のメープルプリンは、ベージュ色のパッケージに、茶色の楓模様が描かれていた。

こないだもらったプリンは、食べようとして忘れてたけど……。

今回のコレは、ちょっと食べるのをためらう。


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