ジュリエットに愛の花束を。


松永が本当にあたしに気があるんだとしたら……。

このプリンは、なんとなく食べられない。

……でも、限定だしな。


少し気持ちが揺らぎながら、プリンを前に唸っていると、教室では次の話題に花が咲いていて。


「つぅかさ、椎名先輩と言えばびっくりだよなー」

「あ、アレだろ?! 『麻衣ちゃん』!!」

「そうそう! あのピエロみたいなメイクしてる汚ギャル! また太ったろ、あの人」

「あの人が、椎名先輩の元カノだろー? 

……なんで片桐に乗り換えたんだろうな。どうやって麻衣ちゃんの巣から這い出したんだろ……。

やっぱ足が速いから?」


耳を塞ぎたくなるような話題に、あたしは静かに教室を出た。


手の中のプリンが……なんか重い。


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