ジュリエットに愛の花束を。


「なんかって何? 松永はそんな特殊な講義は取ってないと思うけど」

「分かってねぇな。男でも女でも、度を超えた本気って怖いんだよ。

そこら中で男女のもつれが犯罪に繋がってんだろぉが」

「えー……松永が? でも、今日は一応予防線張ってきたよ」

「なんだよ、予防線って」


あたしに視線を落とした樹は少し不貞腐れてるみたいに見えて、少し可愛い。


「もらったプリン、樹が食べたって言っておいた。

松永の前で樹の名前出せば、可能性がないって思うでしょ?」

「ふーん……。まぁいいや、もう。これ以上松永の話題したくねぇ」


そう呟いた樹が、あたしの頭を自分の肩に乗せるように抱き寄せる。


「なんか……瑞希がこの部屋にいるの、すげぇ久しぶりな気がする」

「たった三日だよ」

「……」

「でも、あたしも久しぶりな気がするけど」

「……瑞希が素直に言うなんて珍しいな。

やっぱりプリンに何か盛ってあったんじゃねぇの?」


ふざけながら言う樹に、あたしも笑顔になる。


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