ジュリエットに愛の花束を。


「そうだ! おまえがいると話がまったく進まないんだよ。

本当に口から先に生まれてきたような奴だな」

「お兄ちゃんには言われたくないんですけどっ! 

あたしが口から生まれてきたっていうなら、お兄ちゃんなんか口だけ早産で、身体なんかその一ヶ月後くらいに生まれて……っ」

「目上のお兄ちゃんに向かって、反論すんなっ!」

「家族に目上もないし、ケンカに反論もなにもないでしょっ! 口だけ男っ!

大体、今まで口挟まなかったくせに、里香さんが里帰りしたからって、あたし達の事に文句つけるなんて調子よすぎ。

欲求不満ならどっか外で発散してきてよね」

「瑞希、そのくらいで……。

お兄さんが泣きそうなんだけど。……怒ってんだか悲しんでるんだか分からないけど」


気がつけば、仁王立ちしていたお兄ちゃんはしゃがみこんでいた。

大きい身体して、しょんぼり、なんて言葉がよく似合いそう。




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