白き砦〈レイオノレー〉
 やがて騎士団は王宮の正門までやってきた。

すると重い鉄格子が巻き上げられ、中から揃いの制服に身を包んだ近衛銃士たちが迎えに出てきた。

 将軍は王宮に向かって敬意を表すべく、羽根飾りのついた甲を脱いだ。

 途端に溢れ出る、まばゆいばかりの金色の髪。

まっすぐ王宮を見上げる整った横顔。

鼻筋は真っ直ぐ通り、碧い瞳は涼しげで怜悧な印象を与えた。

すらりと伸びた肢体からは、

戦を生業(なりわい)とする者にありがちな荒っぽい猛々しさは窺えず、

気品すら感じられる聡明な凛々しさの方が、
はるかにたち勝っていた。

 だが、それらの優れた資質にもまして人々を魅了したのは、将軍の驚くべき若さであった。

その場に居合わせた人々は、あまりにも若い将軍の姿を見て、誰もが驚きの声をあげた。

それも道理、百戦連勝を讃えられる将軍は、この春やっと十八を数え、ようやく成年に達したばかりであったのだ。

「あのお若さであれだけの武勲をあげられるとは、あのお方はやはり、生まれながらの将軍にあられるのだ」

救国の軍神の奇跡のような若さに感銘を受けた人々は、よりいっそうの敬愛をこめて、

「デューク」と再び将軍の愛称を高らかに唱えはじめた。

その尽きることのない歓声に見送られながら、デュークは堂々、宮門をくぐって行った。
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