オフィスレディの裏の顔
私は紀香さんともう1人今日初めて会った女の子と3人でその接待客3人について行った。外に出ればオーナーの監視外になる。私はてっきりみんなで食事にでも行くものだと思ってた。時間は夕方4時をすぎたばかりだった。

「みんなおなかすいてないでしょ?」

接待側の男性が声をかけてきた。紀香さんが私にこそっと話かけてきた。

「美鈴、おなかすいてないよね?食事は面倒だし時間ももったいないから早いうちにバラけてお仕事しちゃいましょ?」

お仕事・・・。紀香さんが何を考えてるのか私は怖くてはっきり聞けなかった。紀香さんはすぐに担当の男性のそばに駆け寄り交渉を始めた。もう1人の女の子も、この仕事だけで生計を立ててるようで、こういうことには何の抵抗もないようだった。そしてその2組はその先に行くことに決めた。私が帰ろうか迷っていると、残った1人の男性が話かけてきた。

「僕は接待で案内するだけだから、待ってる間の話相手として一緒に来てよ。何もしないから。」

その男性の言葉を信じ私もついて行くことにした。何よりこのデートクラブやらの全貌を知りたいという興味もあり、紀香さんが一緒なら安心だと思っていた。

タクシーを2台つかまえ分散して乗り、赤坂から六本木方面に向かった。降りたのは普通の住宅街。と思ったらこんな場所になぜかラブホ!しかも古びて汚い!こんな安い扱いを受けるの?私はびっくりした。だけど紀香さんは初めてだと言ってはしゃぎながら中に入り部屋を選び始めた。待つ所がないからと私たちまで部屋に入ることになり、3組同時にエレベーターに乗った。これから起きることを考えると、みんなで楽しく会話しながらフロア移動なんて絶対おかしい。

「じゃぁ美鈴、あとでね。」

そう言って紀香さんは先に屋に入ってしまった。私も接待側の男性と2人で部屋に入った。
< 12 / 152 >

この作品をシェア

pagetop