オフィスレディの裏の顔
私のチームは、原則メンバー全員の仕事が終わらないと帰れないことになっている。だからそろそろ他のメンバーも私を手伝いに来てもいい頃なのに、1時間たった今も私は1人で作業をしていた。すると倉庫に吉田さんと、同じチームの中塚さんが入ってきた。中塚さんは私を手伝いに来たわけではなく、彼女のお気に入りの吉田さんにただついてきたのだろう。2人は楽しそうに会話をし、とりにきたものをもってすぐに出て行った。吉田さんは棚の影にいた私には気付かなかった。でも同じチームの中塚さんは私がいることを知っているのに出ていくとき電気を消して行ったのだ!

「なんなの!!」

倉庫には窓がないので一瞬にして真っ暗になりかなり怖い。電気のスイッチは入り口の横に一カ所だけ。ここから20メートルはあるだろう。私は壁に沿いながら恐る恐る入り口の方へと向かった。

「これじゃまるでいじめじゃない!」

真面目で冴えない女子たちに私がいじめられるなんて。ただただ悔しくて涙が止まらず、電気をつけすぐにトイレに行こうとした。廊下に出ると、たまたま向こうから歩いてきていた吉田さんと目があった。

「あれ?水沢さん、倉庫にいたの?」

彼は最初に出て行ったので電気を消されたことに気づいてないのだろう。

「どうした?なんで泣いてるん?」

「知りませんっ!」

中塚さんと楽しそうに会話してたくせに!腹立たしくなって無愛想に彼に返事をしてトイレへと駆け込んだ。
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