【禁断の恋】赤い嘘【完】

決断の時

「………これ………私?」

床に落ちたのは一枚の写真だった。


それを手に取った瞬間、私はその場にヘナヘナと力なく座り込んだ。


その写真の中には幼き頃の私がいた。


ニコッと笑い、カメラに向かってピースサインをしている私。


何でこんな写真を星矢が持ってるの?


「……星矢、ごめん。本当にごめんね」


勝手に手帳を見るなんて最低だ。


分かってる。


分かってるの。


でも何故かこの時、この手帳を見なければいけないような使命感に駆られていた。


それが何故かは分からない。


ただ、この手帳の中には星矢の気持ちの全てが書かれている気がして。


私は罪悪感を感じながらも分厚い手帳を捲った。
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