【禁断の恋】赤い嘘【完】
「痛ぇな。前見て歩けって何度言ったら分かるんだよ」


「……星矢からぶつかってきたんでしょ?私のせいにしないでよ」


「は?お前が勝手にぶつかってきたんだろ?冗談は顔だけにしろよ」


「ハァ?何それ……――!」


反論しようとした瞬間、


「もう……朝から喧嘩しないの!」


パタパタとスリッパの乾いた音を鳴らしながら私達に近付き母が仲裁に入った。 


「……馬鹿馬鹿しい。俺もう行くわ」 


「ちょっと!星矢、朝ご飯は……?!」 


「いらない。朝から姫華のせいで気分悪くなった」


星矢は一度私をギロリと睨み付けると玄関のドアを力任せに開け出ていった。 

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