お家に帰ろう。
そんな遥の提案を、
次の日に早速、友達に伝えた哲司だったが、

「あー、ダメダメ!」

見事に断られた。


「なんでぇ?」

「おまえと市川は、別でやってくれ!」

「なんだそれ?」

「二人は遥ねーさんと関わりあるじゃん。そんなの俺らフリだもんよぉ。」

「え?もしかしておまえ遥ねらいなの?」

「まぁ…そんな感じ。」

「…なんで?」

「なんつーの。甘えさせてくれそーっつーか。」

「どこが?」

「ホラ!それだからおまえは連れてかない!」

「別に行きたいわけじゃねーし。遥に誘われたから」

「必要ない必要ない。」

「い、行かねーよ!ただ!」

「ん?」

「本気じゃなきゃ手ぇ出すなよ!」

「!」

「こっちはおまえと違って、この先もずっと近所付き合いしなきゃならないんだからな!」

「分かってるよ。」

「…」

「でもさ、フツーに恋愛の拗れは…しょうがないよなぁ?」

「まぁ…それはなぁ…」


そんな会話を、聞いてなさそうで聞いていた市川が、ほくそ笑んでいることなど気付きもしていない哲司だった。



< 232 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop