お家に帰ろう。
そしてそのデートの日、
哲司は上條家に居た。


「今んとこ、もう一回。」

「ちょっとぉ!人ん家来てなに寛いでんの!」

「これ撮っとくの忘れたんだよ!」

「ダビングしてやるっつーの。」

「あー!ほら、また聞き逃したぁ!」

「先に進まないんですけどぉ!」

しかも、リビングのテレビは哲司が占領している。


「休みなんだから、どっか行けば?」

「だって、皆忙しいんだもん。」

「あたしだって暇じゃないんだけど。」

「なに?」

「…何であんたに言わなきゃなんないのよ!」

「そんなこと言って、何も無いんだろ?」


そこに、少し開けたドアから遥が顔を出して言った。


「ちょっと出かけてくんね。」

「あーい。」

「あぁ、テツ。居たの?」

「おっす。」

「帰りは遅いの?」

「分かんない。そん時は電話入れるぅ。」


遥は、あっさりと出て行った。


「…デートだってさ。」

「誰が?」

「遥。」

「…何であんたが知ってんの?」

「俺の友達とだから。」

「はあ?!」

< 233 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop