お家に帰ろう。
10分経ったかどうかと言う頃。


「あい。…うん。まだ色々あんだろ?1年だからホラ、片付けとか…」


哲司のケータイに、市川から電話が入ったようだった。


「居るよ。代わる?」

(え!嘘っ!余計なことを〜!)

「ん!イッチーが代わってってよ。」

(あんたが勝手に言ったんでしょ!)


明は渡されたケータイを、深呼吸してから耳に当てた。


「もしもし。」

「あ、今日はありがとう。せっかく来てくれたのに相手できなくて…」

「全然そんな!試合だったんだから当然でしょ。」

「大丈夫だった?」

「え?なにが?」

「つまらなくなかった?」

「!カッコ良かったよ〜!」

「良かったぁ〜!あんまり好きじゃないのかと思ったから…バスケ」

「…なんで?」

「バスケを観てるって感じじゃなかったから。」

「!あー。馴れない場所に緊張しちゃって…あれ?気付いてたの?(全然こっち、見なかったくせに)」

「他校の制服は目立つから。」

「あ。そーだよね。」

「皆、哲司の彼女だと思ってたみたいで…」

「あはは(えっちゃんは大丈夫だったかな?)」

「羨ましくって嫉妬した。おかげで得点につながったけど。」

「!(あれれ…なに?胸がキュンってなったけど…)」

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