お家に帰ろう。
応援が多いのは、ホームグラウンドの特権。


自分の学校の選手がボールを持ったり、シュートが決まれば歓声があがって当然のこと。


それにしても、明らかに、
市川が入ってからと言うもの、
黄色い声援が途絶えることがなかった。


(なんなのこれ?…ったく!さっきのテツの“えっちゃん”にしろ、合コンなんて必要ないじゃん!)


共学高校の結束力を見せ付けられた明は、
声に出して応援するまでもない市川を見て思う。


(さてと、どうするかな?)


後半、両チームとも競った結果、5ポイント差で、
市川率いるΑ高校に軍配があがった。


(出来過ぎてて、おもしろくないかな?)


普通ならイチコロなのだろうが、明にとってはつまらないパターンだった。


その時、

「待ってて、一声かけてくるから。」と、

歩き出す哲司のシャツを引っ張り、明は引き止めた。


「それっていかにもじゃん。」

「え?」

「あたし今、完全にアウェイなんだからさぁ…ちょっとは考えてよ。」


明の指差す方向には、
いわゆる“ホーム”の女性陣が群がっていた。


「…おまえでも、人目とか気にするんだ?」

「しまくりだっつーの!」


結局、二人揃って市川にメールを打ちながらの帰路となった。

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