お家に帰ろう。
いくら仲良くしてもらっているとは言え、
妹とのキスシーンは、
さすがに見るに堪えなかったであろうと、
胸を撫で下ろす。

その時、

路地に、ひとりの男が立っているのに気付いた。


スーツ姿のその男は、
どっちに進む訳でもなく、ただ、その場に立っている。


なんとなく、こっちを見ている様にも思え…

(道に迷ったか?)

道でも尋ねられるのかと、ゆっくりとその前を通り過ぎた。


(ふっ。なんだよ。俺なんかには聞きに来ねーかぁ。)


上條家での出来事と言い、
なんだか自分が、野蛮人に思えてくる哲司だった。

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