丸腰デパート・イケメン保安課
言葉に詰まった。

嫌いじゃない…確かに嫌いじゃない…。

居ればうるさい主任だけど、居ないと何か物足りない。
そういう気持ちがあるのは確か。

でも、それが好きとは限らないし思えないよ。

「笙が、怒られても蹴られてもちょっかいかけるのは、自分が嫌われていないという確信がある時なんです」
確信?
「まぁ、野性的な勘とも言いますが」
「………」

勘?
主任の野性は納得できるけど…。

「…アテにはならないじゃないですか」
「そうでもありません。あれでも笙は苦労してますよ?大人の顔色を伺う子供でしたからね。人の気持ちには敏感ですよ?」

私には鈍感としか思えない…。

「俺らはさ、別に桜田ちゃんに主任と結婚して下さい!なんて頼む気は無いよ」
「うん、それは桜田さんの意思だからね」
栗田さん、貢さん…初めてまともな意見を…。

「ただ、これだけは言いたいんだ」

貢さんが、トレイを抱きながら真剣な瞳…。

「笙さんを嫌いにならないでほしいんだ」
「貢さん…」

「僕達みんな、笙さんが好きなんだ…」
「だからさ、主任の大好きな桜田ちゃんにだけは嫌いになってほしくない」
「そうだな…嫌ってほしくは無い」

みんな…。
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