いつまでも...未緒side【短編】
私が小学6年生のとき、母が男の人を連れてくるようになって、母の"女"の顔を見てしまった。

なんだかすごくショックで、それからは母が男の人を連れてくる度にこの丘の上の公園で時間をつぶすようになった。

あれから3年、ずっとこういうことが続いている。

4ヶ月前、まだ肌寒い頃だった。

あの日も私はいつものように、この公園で時間を潰していた。


「あれ…?山野?」


その日は、友達と遊んでから家に帰るともう母と男の人が一緒に家に居た。

いちゃいちゃしてるところを見ることができなくて、公園に来ていたのだ。

無性に悲しくて、今にも泣きたい気分だった。

そんなとき、同じクラスの隼人に見つかった。


「え、隼人…?」

「あ…声かけないほうがよかった?」

「や、だいじょぶ。…こんな時間にどうしたの?」

「こっちの台詞なんだけどなぁ。俺は塾の帰り。」

ふふっと少し笑って答えた隼人に一瞬ドキッとしてしまった。

頭が良くて運動もできて明るくて…そんな隼人はクラスの人気者だった。
今もそうだけど。

彼が光なら私は陰だ、と思う。


「隣、良い?」

「…?いいよー」


よいしょ、と隣に座った隼人は

「なんかあったか?…山野が良ければ話聞くけど…。」

と、心配そうな顔で聞いてきたのだ。


何故か、ぶわっと涙が溢れてきた。
少し仲が良い程度のクラスの子に泣き付かれるなんて、迷惑だろうなとは思ったが、とまらなかった。

そのまますべてを話してしまった。
なぜだかわからない。
隼人の雰囲気にそうさせられてしまった。
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