いつまでも...未緒side【短編】
「…じゃ、また明後日。」

「…うん。明後日の朝ね。」

何かを話すわけでもなく、ただ手を繋いで家まで送ってもらった。


携帯を見るともうすぐ日付が変わりそうだ。

いつもよりもだいぶ遅い。

ガチャリ、と玄関を開けるとリビングの明かりがまだついていた。
テレビの音も聞こえる。

遅いのに珍しいな、と思って部屋に入ると母が食卓で突っ伏して寝ていた。


「テレビも電気もつけっぱかよ…。」


ビールの缶が散乱しているテーブルからリモコンをとってテレビを消すと、母が少し動いた。

「んっ…」

「もー…おかーさん。起きて!起き」

「未緒…。」


あたしの言葉を遮って呟いたのはあたしの名前だった。

起きたかと思って顔を覗きこんでも、規則的な寝息を立てて眠っていて、時々眉を潜めるだけだ。


「…めん。」

「え?」

「…ごめん、ごめんね、未緒…。」

「え…」


そう呟いた母の閉じた目から、涙が流れた。

なんだか、わからなくなった。


寝室から毛布を持ってきて、お母さんにかけてあげた。

あたしも、今日は、早く、寝なきゃ、なんとなく。


どうして謝ったの
なんで泣いたの
どんな夢だったの

どれがお母さんなの


聞ける筈がなかった。
もう3年、まともに会話らしき会話を交わしたことなんかない。
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