小悪魔な幼なじみ
ドアを開けると同時にピアノの音が止んだ。
「そろそろ来る頃だと思ってたよ、雫」
いらっしゃい、とも言わんばかりの顔の廉。
そんな歓迎されても困るし。
「せ、先輩が…」
最初の一音で声がひっくり返る。
どんだけ緊張してるのよ、あたし。
「先輩が廉のこと呼んでこいって。」
「ん、知ってるよ。
ここから見てたから」
廉が窓を指す。
その窓からグラウンドがよく見えて。
野球部がランニングをしていた。
「今から着替えて行くよ」
廉がそう返事をしたからあたしは音楽室を出ようと背を向けた。
そうすると廉が言ったんだ。
「保健室でのこと、怒ってる?」
って。