秘密の誘惑
契約は万事うまく進んだ。


今後、10年間はミスター・リチャーズの工場で織られる最高級の糸を使う事が出来る。



もちろん、双方の利益が順調に伴えばその後の契約も延長される。



その夜は朝倉ホテルのボウルルームでパーティーが行われる。



この準備に萌は神経を使った。



ディーンの部下、部長クラス以上が夫婦同伴もしくは恋人同士で出席するからだ。



「裕美さん、これから朝倉ホテルへ行ってきます」


萌はドレスバッグを手にした。


「完璧に準備されているか心配なのね?」


「はい 最終チェックをしてきますね」


頭を下げると秘書室を出た。



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