秘密の誘惑
ホッと一息吐いた時、ドアが開く音がした。


慌ててソファーから立ち上がりディーンを迎えた。


「お疲れ様でした」


「お疲れ」


ネクタイを外しながら近づいてくる。



たっぷりシャンパンやワインを飲まされたはずなのにディーンの顔色は変わっていない。



「緊張しているのか?」



萌のこわばった顔を見てディーンはフッと笑みを漏らす。



「なんのご用でしょうか?」



ディーンは答えずに部屋の隅のカウンターバーに行く。


「何を飲む?」


「いりません」



食べ物どころか何かを口にすると思っただけで胃が暴れはじめた。



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