白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~




「私達の結婚式からまだそんなに時間経ってないのに、いろんなことが起こってるね」




直は、台所のカウンターに飾ってある結婚式の写真に視線を移す。




「そうだな。誠人も直のお姉ちゃんも…… いきなり付き合ってるし。それに、里田の赤ちゃん産まれたし、中田とたっくんは別れて、またくっついたり。俺達は俺達で空き巣に入られたり……な」




一瞬、言おうかどうか迷った。


金森事件のこと。



あの出来事も、大きかった。



俺達にとって、忘れることのできない出来事だった。





「みんなが幸せになれたらいいね」




「そうだな。誠人も直のお姉ちゃんも結婚できたらいいよな。もちろん、たっくん達も」




みんなが幸せになるなんてことは難しいことなのかもしれない。


少なくとも自分の周りの大事な人達にだけは、絶対に幸せになって欲しい。




俺にできることは……

直を幸せにすること。



直の心の中がいつも綺麗な色であるように。



不安にさせたり、心配させたり…… 泣かせたりしないように。





今、俺がやらなければいけないこと。



神田由利が俺に対して教師以上の気持ちを抱いているなら、絶対に会わない。



その為に、手紙を書くこと。













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