彼氏
「このミサンガ、結衣だよな?ありがとう。」


吏玖の左足には私のミサンガ。

よかった。
気づいてくれてて…

「腰はどう?」


「まだ痛いけど大丈夫。結衣と一緒にインターハイ行くチャンスは最後だし、頑張らないとさ。」


「無理しないでね…心配だから。」



「ゴホンッ」

話してると後ろから咳払いしながら美波と佐野君が入ってきた。


「元のサヤにおさまったかぁ?本当に世話がやけるやつだよ。」

佐野君が吏玖の肩を持ちながらイタズラな目をして言った。

「綾瀬さん、聞いて下さいよ。コイツ、自分が距離置くって言ったくせに、連絡なくなって毎日イライラしてたんっすよ。」


「おい!まじ言うなよ!」

吏玖が慌てて佐野君を押さえ込む。



「本当に吏玖はお子ちゃまで大変ですよね~。」


「お前に言われたくない!もう何も言うなよ!」


「まぁ、何はともあれ…高梨君。もう結衣を泣かすようなことしないようにね。」


美波が真顔で吏玖に言うと、吏玖は固い表情になり、
「すいませんでした。もう泣かせませんから!」
と、言った。


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