ツギハギの恋
『俺達、どこかで会ったことあるよね?』
下手なナンパみたいなセリフだった。
いつもならそんな言葉、鼻で笑って流してしまう……。
流さなかったのはあたしも同じように感じていたから。
震えた声で彼に聞き返す。
「……どうして?そんなこと思うの?」
「君を見た瞬間、見つけたって思った……。そしたらもう君しか見えなくなっちゃったからね」
茶色の瞳が真っすぐにあたしを見つめた。
その目がひどく懐かしくてあたしの胸をギュッと締め付ける。
ああ……
そうだ。
あたしは彼に会ったことある。
根拠もなく漠然とそう思った。
「俺、君のことよく知らないけど、ずっと前から好きだった気がする」
不思議な話……
瞬きした瞬間、ソイツの小指とあたしの小指に赤い糸が見えた気がした。
――ツギハギの赤い糸。
「ねぇ、運命って信じる?」
懐かしい笑顔で彼は無邪気に笑った。
それが尻尾を振った犬みたいに見えて、あたしはなぜだか泣きながら笑った。
―おしまい―
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