近未来拡張現実エンタメノベル『MIKOTO-The Perfect PROGRAM』
☆自殺志願者(3)
「出ねぇ!どこ行ってんだよ!」
「やだよ・・・自殺なんてやだよ」
「オヤジさんは!?車出せないか!?」
「さっき、車でどっか出かけちゃった・・・」
店内が沈黙に包まれる。柱時計から、秒針を刻む音が聞こえる。
多々羅大橋はこの店から距離にして6キロほどだ。
俺様号は電動アシストをマックスにすれば80キロ近く出るが、街灯はほとんどない。暗闇での命がけの走行になる。
「みんなが元気になって帰ってくのがしまなみなのに・・・
しまなみは、世界で一番楽しい観光地なのに・・・!」
うつむき、グーを作っていた。肩が小刻みに震えている。
まいらの切実な台詞に、俺ははっとした。
まいらにとってここは、生まれ育った愛着の島だ。
何より「しまなみが世界で一番楽しい観光地になるといいね」と夢を語っていたのは、若き日のまいらの母だ。
彼女なら今ここでなんて言うだろう。そう思いまいらの顔を見た。
横顔が一瞬、重なって見えた。
考えるまでもないじゃないか。
「行くぞ、まいら!」
俺の大声に、まいらの顔がふわっと明るくなる。
「うん!」
「出ねぇ!どこ行ってんだよ!」
「やだよ・・・自殺なんてやだよ」
「オヤジさんは!?車出せないか!?」
「さっき、車でどっか出かけちゃった・・・」
店内が沈黙に包まれる。柱時計から、秒針を刻む音が聞こえる。
多々羅大橋はこの店から距離にして6キロほどだ。
俺様号は電動アシストをマックスにすれば80キロ近く出るが、街灯はほとんどない。暗闇での命がけの走行になる。
「みんなが元気になって帰ってくのがしまなみなのに・・・
しまなみは、世界で一番楽しい観光地なのに・・・!」
うつむき、グーを作っていた。肩が小刻みに震えている。
まいらの切実な台詞に、俺ははっとした。
まいらにとってここは、生まれ育った愛着の島だ。
何より「しまなみが世界で一番楽しい観光地になるといいね」と夢を語っていたのは、若き日のまいらの母だ。
彼女なら今ここでなんて言うだろう。そう思いまいらの顔を見た。
横顔が一瞬、重なって見えた。
考えるまでもないじゃないか。
「行くぞ、まいら!」
俺の大声に、まいらの顔がふわっと明るくなる。
「うん!」