近未来拡張現実エンタメノベル『MIKOTO-The Perfect PROGRAM』
☆自殺志願者(2)

「まいら、これどう思う?」
「んうー?」
めんどくさそうにこっちに歩いてきた。魂が抜けているようです。
だがパソコンの液晶を見た瞬間にぎょっと蘇生した。

「ちょっと、ゴールって、まさか」
「つ、釣りだよな?・・・だと思いたい」
「でもこの人、こんな所にいるよ!」

グーグルマップで座標を確認する。ぽこは橋の中腹にいた。
「多々羅大橋か!」
「あんなとこから落ちたら一瞬で死んじゃうよ!」

多々羅大橋は1999年に完成し、全長1480メートル、塔長226メートルで、2009年7月までは世界最大の三径間連続複合箱桁斜張橋だった。20世紀の架橋技術の叡知が結集された超巨大建造物である。
wikipediaは便利だ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9A%E3%80%85%E7%BE%85%E5%A4%A7%E6%A9%8B

車道および自転車道の高さおよそ46メートル。落下した場合、溺れるのを待つまでもなく、水面に叩きつけられた瞬間に即死する。

俺はポケットから携帯を取り出し、ちこちことダイヤルをはじめた。
耳にあててから、まいらに小声で「駐在所」と伝える。ウィンクとグッジョブサインをいただいた。

まいらの手前、冷静を装いながらも俺は頭にきていた。本当に死ぬ気か釣りなのかわからないが、こんなことネットに書く奴はどっちにしても警察沙汰にしちゃえ。
はた迷惑に人を振り回す奴は足首つかんでジャイアントスイングしてやりたい。ぼくは室伏になりたい。脳内で大回転しながらおまわりさんが出るのを待つ。

コール10回。20回。
・・・まさか、いない!?


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