COLORS【桃】出撃☆恋愛応援団
──ドンっ!!

「きゃあ……」

御影のヤツ!失敗したら一生恨んで呪ってやる!

「すみませんっ!!大丈夫ですか?」

俺はどつかれたせいで、正面から歩いてくる柿崎愛美に勢いよくぶつかった。
これが今回の作戦でもあるのだが。

「……大丈夫なわけないでしょ」

ご機嫌はかなり斜めなようである。
何が『廊下の角でぶつかって始まる恋』だよ!

って!……いないし。
あいつら~っ!どこへ行きやがった!

「え~と、これはワザとではなくて、決してなくて──」

「まぁ、いいわ。今後は気をつけてよね。じゃ」

アタフタしている俺を見兼ねた彼女はあっさりとそう言った。

何か言わなきゃ……、
何か。

「あ、あの!!待って下さい!俺に見覚えはないですか?」

「……?」
一瞬だが彼女が俺の顔を見て、何かに気付いたように見えた。

「愛美姉さん、俺です!栗林恭介です!!」

「恭……介?」

「姉さん、俺……ずっと姉さんにことが──」

御影たちがくれた唯一のチャンス、無駄にするものか!

「ごめんなさい。あなたのこと知らないの、人違いだと思うわ」

遠ざかってゆく彼女のシルエット。
その後ろ姿を見ながら、俺は走馬灯のように流れる過去の映像とこれまでの苦労が、今の一言で全て『無』へと変化していく様子を肌で感じていた。
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