COLORS【桃】出撃☆恋愛応援団
「失礼します」

扉を開けると、そこには『団長』と呼ばれている柿野愛美の姿があった。
名目上は『生徒会予備室』となっているが、『恋愛応援団・団長室』と呼ばれてもおかしくないというくらい常用している。
話によれば生徒会長公認で使用しているらしい。
一体どんな手段を使ったのだろうか?想像するだけでも恐ろしい……。

「遅いわよ、御影」

蘭の言うように機嫌は悪いらしい。それが分かったのは足を組んで微動だにしなかったから。しかしそれはいつものお決まりのパターン。問題は怒りのレベルがどれくらいなのかだが、今の状態からは推し量るに……。

「す、すみません」

彼女の眼光に怯えて御影は言葉を発するのがやっとだった。
どうやらレベル五はいってるようだ。
因みにレベルは一~五まであって一が軽→五が重と判断される。

「最近、依頼が減っている理由。あなたは何だと思う?」

こんな時、『団長のせいです』って言えたら楽なのに──。
死んでも言えない言葉を脳裏に浮かべながら御影は、

「それは――ほら~っ!文明の進化ってヤツじゃないですかねぇ~!ほら、今の人たちって告白するのもメールや携帯電話でするっていう人もいるみたいだし……ラブレターが減っているのもそのせいかと」

「だから?」

「その……つまり――」

愛美の怒りが頂点までに達したと悟った時にはもう遅かった。


「あなたも蘭も自分のせいだとは思わないの!!いいこと!三日以内に必ず一人依頼者見つけ告白を成功させること!!もしもできなかった時は――二人ともクビよ。分かったわね!」

「はい……」

御影は彼女の迫力に完敗、渋々と返事をするしかなかった。
冷静に考えたらクビになった方が楽なのかもって考えてしまうのだが、やはり今までの自信の誇り(?)がそうはさせてくれなかった。

解放された時には、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いていた。
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