COLORS【桃】出撃☆恋愛応援団
あれから何分経過しただろう。多分、実際は五分くらいだと思う。しかしこの窮屈さが身体的に段々と辛くなってきたことを考慮すると、十分以上は経過しているのではないかとさえ錯覚してしまう。

『そろそろいいんじゃないか』
俺が少し前に動くと、前に居た御影の肩がロッカーの扉にあたる。

──カタッ……。

『ちょっと動かないでよ!』

『御影ちゃん!静かに!』

『だって!先輩!こいつが……』

声がでかいと思ったが、時既に遅し。

「誰か居るの?」

げっ!やばい~っ!
俺達、三人は神に運命を任せ目をつむった。

その時──、


バタン。


「やっぱりここに居た!柿野さん、生徒会長が呼んでるわよ」
現れた一人の少女。
どうやら生徒会のメンバーのようだ。

「……今行くわ」

ロッカーの取っ手に差し延べかけた手を止め、彼女は呼びに来た少女と一緒に部屋から出て行ってしまった。


パタン。
ドアの閉まる音が聞こえたことを確認すると、


ガタ、ガタ、ガタン……。


ロッカーの中の彼らが動き始めた。

「ちょっと!いい加減に……きゃあ~っ」


ドンっ!!


「痛ぁ~い……」

狭い場所から抜け出せたものの、

「お前がジタバタ動くからだろうが!」

御影の上に俺は覆いかぶさる状態で、しかも……。

「恭介──、どさくさに紛れてどこ触ってるのよ~っ!!」

俺の左手は彼女の胸を掴んでいた。

「あ、いや……これはだな」

もはや言い訳になってしまうかもしれないけど、

「問答無用っ!!」

俺の意志ではないことだけは分かってくれ~!

「……告白大作戦!その壱、失敗ね。私が恭ちゃんの背中を押したことは黙っておこ」

蘭は二人のやりとりをロッカーの中で見守っていた。
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