甘い夏 煙草の匂い
「…早く…」
声には出さすに、囁いて催促する。
「…真那…」
そっと背中を撫でると、尋常ではない心臓の動きがわかる。その鼓動が俺にまで伝染し、体が熱くなる。
…。
…あれ?やべ…。何だか急に、俺までドキドキしてきた…。
ここまで勝ち気で進んできたが…もし、俺が思っているほど好かれていなかったらどうしよう…。
どんどんマイマスへマイマスへと考えが変わり、前に進めない状況になってきた…。
今なら大丈夫。冗談だと言って、引き返せる…。
そう思い、フと真那から離れた。
離れた気配を感じ、真那が目を開ける。
「上…す…」
真っ直ぐに見つめてくる瞳に耐えられず、顔を反らす。
何か話さなくては…と言葉を探していたら…
「キ…キ…」
沈黙を破ったのは、真那の方だった。
「キスっ…し…て…」