甘い夏 煙草の匂い
「…どこに向かってるんですか?」
…どこに向かってるんだろう?
「ちょっとドライブ?」
「…。」
すっかり呆れ返った顔で、流れる外の景色を見ている。
「…大事な話があるって言ったのはホント。
マジで最近、変な事はなかったか?」
「…ありました。」
「は?!いつ?!」
「今です。誘拐されてます。」
「…スンマセン。」
そっぽを向いていた顔が、ゆっくりとこちらを向いた。
「…どんな事ですか?変な事って。」
…やっぱり、言わない方がいいか?ビクビクしながら生活させるのも可哀想だ。
しかし、危機感を持って行動しなければ、尚更危ないだろう。
…クソッ!俺の女として一緒に住んでいれば「危ないから外に出るな」と言えるのに!
「…昨日、2人でアパートに入って行く所を、誰かに写真撮られたらしい。」
「…え?」
「事務所に写真が届いた。マスコミでもない様子だ。かえって、素人の方が危ないんだ…。」
みるみると真那の顔色が曇っていく。運転中だから良くは見れないが、声色から伺える。