まもりねこ。

「あのね、あたしさっき涙出ちゃったでしょ?あれね、ヨータの顔見たからなんだ」

「どういう事だ?」


「……なんだろう。なんかね、黒い、渦みたいなモノが顔というか首から胸にかけて。お婆ちゃんにも言おうとしたんだけど言いそびれちゃった」


「わたしが明日言うからいい。ネムは寝たほうがいい」


「なんか悲しい感じと、暗くて深く、重い感じが合わさってて、涙出ちゃったの。なんで? ヨータ、悪い人なの?」


「わからない。だがしかし、ネムがそれを言ってくれた事により少しは解決に近付いたかもしれぬな。とりあえず今日はもうお休み。明日は家に帰ろう。」


 ディルクはネムの返事を待ったが、何も無かった。





 変わりに聞こえてきたのは、ネムの吐息だった。




< 71 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop