あまーいお時間
「ど、どうした?!
大丈夫か?どっか
痛いのか?!」

涙のせいで歪んで見える。
でもわかる。
この声、匂い‥
悠希さんだ。

「ゆう‥き‥さん‥」

「どーしたんだよっ
誰かになんか
されたんか?!」

違う、違うの。
悠希さん。
そんなことじゃないの。

「ちが‥っ
ゆ‥ぅきさんが‥っ」

「ん?俺?
なに?なんかしたか?!」

「ち‥がうっ‥の
す‥す‥」

ここまで出てるのに
なかなかその先が出ない。
さっきまで声が聞きたくて
会いたくて仕方なかったのに
いざ目の前にすると
大切な言葉が出てこない。

「凜‥落ち着いて?
どうした?言ってみ?」

優しく私に言ってくる。
その言葉でまた涙が
溢れ出す。

彼はゆっくりと綺麗な手で
私の涙をとる。

「ほら、泣かない。
ゆっくりでいいから
言ってごらん?」

「‥す、‥き」

「え?」

「ゆ‥うッき‥さんのことが
‥グズッ‥すき‥なの‥っ」

私は精一杯、自分の
気持ちを伝えた。
伝わるように、届くように。

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