恋の唄


俯いて迷っていると、華原君がトントンとテーブルを叩いて私を呼ぶ。

授業中、時々やる華原君の合図。

顔を上げれば、微笑む華原君がいて。


「今じゃなくていいぜ」

「えっと、それは……」

「ちゃんと一花との事を終わらせるからさ。まあ、結構こじれてるからすぐってわけにはいかないけど……」


ああ、そうか。


─ けど、俺はちゃんと進んでる ─


華原君は、頑張って向き合っていたんだね。


「全部大丈夫になったら、またちゃんと結衣にコクるよ」

「……うん」


言葉と想いが嬉しくて。


「だからその時、結衣の気持ち聞かせて」

「うん」


幸せで。

待ってるよと伝えるように、強く、頷いて見せた──‥






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