恋の唄


朝から雨が降り続いていたその日の放課後。

伊織ちゃんを教室に迎えに行ったら、伊織ちゃんが嬉しそうに私に駆け寄って来た。

そしてそのまま抱き付いて、笑顔を向ける。


「結衣! 聞いてよ!」

「な、何?」


興奮気味の大きな目な伊織ちゃんの声。

驚く私をよそに、伊織ちゃんは今度は声を潜めて話す。


「私ね、真柴君とメアド交換したのっ」

「えっ? 本当に? おめでとう伊織ちゃんっ」


同じく声を潜めてお祝いを口にすれば、伊織ちゃんは本当に幸せそうに微笑んだ。

そして教えてくれる。

そこに至った経緯を。



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