Chain〜切れない鎖〜
それからの光景は、目を覆いたくなるものだった。




角材を振り上げ、奴らは何度も一馬を襲った。
きちっと締められたネクタイがほどけ、カッターシャツは破れ、身体からは血が吹き出した。



「やめて!」

何度もそう叫んだ。

その度に、あたしの身体を押さえる不良に顔をひっぱたかれた。
唇が切れ、血の味がする。

こんなの大したことない。
一馬の方が酷いんだから。


あいつが顔を角材を一馬の背中に叩きつける。
バンッという恐ろしく大きな音がして、角材は真っ二つに割れた。
我慢出来なく顔を歪める一馬。

あたしのせいだ。
あたしが弱いせいで一馬が…!

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