Chain〜切れない鎖〜
「一馬、帰ろうよ!」

「芽衣…」

「あたし、絶対一馬から離れない」

手を伸ばした。
一馬も手を伸ばす。

辛うじて掴めた一馬の手は、びっくりするほど冷たかった。


ガシャリと重い音を立てて扉が開く。
お父さんが鍵を外してくれたんだ。

ドアが開いた、あたしは一馬に飛び付いた。
そして、ボロボロになったその胸元に顔を埋めて思いっきり泣いた。

一馬はそんなあたしを、ずっと抱きしめてくれていた。






あたしには、やっぱり一馬がいないといけない。

一馬にも、やっぱりあたしがいないといけない。


あたしは一馬を信じるよ。
もう、二度と悲しませないように。

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