Chain〜切れない鎖〜
「華チャンじゃん」

不意に聞こえた低い声で華の足が止まる。


「偉そうになったな」


一馬の声じゃない。
一馬は華にこんなこと言わない。


さっきまで怒りで我を忘れていた華の後ろ姿は、明らかに縮み、震え上がっていた。






続いて横から出てきた集団。
赤や黄色の頭。
変な学ラン。
手には煙草を持っている。

一馬の誕生日に見た不良たちに間違いなかった。


あたしたちがいる所からは死角になっていて見えなかったようだ。



「一馬さんに楯突くなんて、どうなるか教えてやろう」

スキンヘッドが薄気味悪い笑いを浮かべてそう言った。

< 224 / 306 >

この作品をシェア

pagetop